土曜日に地元書店で手にした本。山口先生の本は本格的に読んだことがないが、『ブレア時代のイギリス』と部分的に重なる内容がある。最初に、日本の政治状況の総論(
自民党政治の終焉)、次に2大政党制の意義の分析、続いてイギリスと
アメリカの政治分析。最後に、日本の政治状況の分析(
自民党、
民主党)。8割型読み、全般的に興味深く読む。特に、著者の
小沢一郎分析は面白い。
新進党時代の
新自由主義的・
改憲的立場から後期
民主党の「生活重視」への転換(変貌)は2大政党制を作り上げた、小沢ならではの「現実的」対応である。しかし、本書を読んで疑問の残る点もある。著者自身も断っているように、この本は基本的に
社民主義の立場から
民主党を支持する(
民主党が
社会民主主義政党であるかも議論の余地がある)という観点から描かれている。そのため
日本社会党に対する評価が非常に厳しい。
日本共産党にいたっては全体でほとんど言葉すらも出てこない(
マルクス・レーニン主義という言葉のみ?)。そのため、あたかも日本には
自民党と
民主党しかなく、2大政党制のみが民主主義を実現するかのようにも読める。とりわけ、
民主党の分析の中では、著者の主張が論理的に飛躍していて、「大丈夫?」と思えるところもある。2大政党制を実現するために
細川政権を圧倒的に支持したことにたいする「反省」もなさそうである。少数意見や多様な民意を表すことこそ、民主主義のひとつの意義だと思うが、そこらへんは著者はどう考えているのであろうか。なお、「第4章」の扉にある「細川
連立政権」の写真には、よく見ると後ろに鳩山氏が写っている。この写真は面白いと思った。