知的複眼法

良書。分量は多いが平易な言葉で書いてあるので難なく読みこなせる。学生の勉強の方法論としても読めるし、研究者の課題の立て方、論文執筆・整理にも使える。本筋からそれるが本書では、ウェーバーと並んでたびたび、マルクスの例が出てくる。著者によれば、偏差値教育はもともと、教員や学生が個々の学力レベルを図るために使われたのに、いまや偏差値によって学生、教員すべてが縛られる。これはまさしく、問題の所在を取り違えていて、逆立ちしている。これはマルクスのいうところの貨幣の物神性の極み。ところで、自分は、価値形態論の説明では必ず、自分の成績を例に出して話をします。試験の結果は、それだけではよいのか悪いのかわらかないけど、他人と比較することでよく見えるでしょという話。そうすると、学生はその話の例だけはわかりやすかったと納得(!?)します笑。