現代の低所得層

今日はとてもいい日でした。研究所の同僚の方に教えてもらった図書館の蔵書開放コーナー。仕事終わりに30分ほど顔を出しました。貴重な本がたくさん。時間がなかったので、とりあえず蔵書を眺めただけですが、なかなかの品揃えです。

そして経済コーナーを回っていたところ驚きの本が・・・。
江口英一著『現代の低所得層』(上)(中)(下)。
未来社から1970年台に出版されて現在は絶版。古本屋では10万円の値打ちが付けられる貴重本です。帰りの電車+家に帰ってきてから序章をむさぼるように読みました。社会科学の方法について、詳しく叙述されています。岩田正美先生も江口先生の影響をもろに受けたんだろうな・・・。そんなこんなことを考えつつも、この本に出合えた今日はとてもうれしいです。

現代の「低所得層」〈上〉―「貧困」研究の方法 (1979年)

現代の「低所得層」〈上〉―「貧困」研究の方法 (1979年)

追記10/12
江口先生はイギリスの貧困調査の豊富さを留学経験をもとに述べられた後、次のように指摘する。

現に公的扶助をうけている公的な被保護者以外に、それらの政策や施設をなんら享受できず、また自らの生活を守り、防ぐべき自主的組織的手段をなんら持たない階層ーー「低所得階層」、すなわち、”現代のWorking Poor”を、明るみに照らしたのであった。

その後、Depraivataionの視点から、貧困者の中でも稼動年齢世帯の働く貧困層の調査を江口先生は行うのであるが、すでに1980年代でこうした視点を持っていたこと、現代のツールとしても使える視点を獲得していたことに驚きを覚えます。