読書

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興味本位で購入したものです。第3章まですらすら読めました。タイトルにもあるとおり、「社会的企業」としてのビッグイシューの取り組みを当事者のインタビューなどをもとにまとめたものです。第1章はビッグイシュージャパン立ち上げの経緯について。イギリス発祥のホームレス自立のための取り組みであるビッグイシューを、日本で立ち上げようとした人たちの苦悩と前進する過程が描かれています。第2章では、ビッグイシュー立ち上げのあとにその設立の趣旨や行動に賛同してきた人々のそれぞれの思いが紹介されています。第3章では、ホームレス状態から販売員として雑誌ビッグイシューを売るにいたる様々な人々の物語が紹介されます。

本書では興味深い指摘や考えさせられる内容を多く含んでいます。ボランティアという形ではなく、雑誌を売るパートナーとしてホームレス状態にある人と、企業が手を結ぶという斬新なアイディア。それに賛同する人々が集って、現在のビッグイシューの形が出来上がってきたことが、克明に描かれています。特に第2章で取り上げられる今まで社会問題やボランティアに関心のなかったと言われる「若者」たちが、ビッグイシューに参加し、時には就職という形で離れていく様は、「仕事ととは何か」を考えさせられる点で心を動かされるものがあります。第3章では、販売員になり、アパートにも住めるようになりながらも、清掃員として仕事を始める場合に、失敗をする人の例が取り上げられています。

ライターという「第三者」が文章化し・仲介したものですが、逆にそれが本書の読みやすさと具体性を引き出しています。きわめて客観的な、かつ中身が良く分かる良書だと思います。社会問題に関心のある人も、そうでない人にもお勧めできる久しぶりのお勧め本だと感じました。