2007年版経済財政白書

経済財政白書が昨日の7日付で発表されたようです。労働経済白書と同様、経済成長と分配との関係に注目し、ひとつの章(第三章「労働市場の変化と家計部門への影響」)をさいているのが特徴のようです。どなたかもおっしゃっていたように、文章自体はきちんとしたもので、労働経済の分析として一読する価値がありそうです。

http://www.asahi.com/business/update/0807/TKY200708070086.htmlasahi.com)

内閣府は7日、07年度の経済財政白書を発表した。景気拡大が続いているのに賃金が伸び悩む理由について非正社員の増加の影響は大きくなく、むしろ、「複数の要因が複合的に作用」していると結論づけた。また、景気回復が進めば所得格差が縮まるという従来の学説が信頼できなくなっている現状も報告した。

グラフ働き方別の基本給(所定内給与)の前年比

 白書の副題は「生産性上昇に向けた挑戦」。賃金低下は3日発表の労働経済白書でも問題視されたが、内閣府はデータに基づく分析を行った。

 同府は経済の専門家らの間で通説となっている、(1)賃金の低い非正社員の増加、(2)高額所得者である団塊の世代の一斉退職、(3)高所得産業から低所得産業への転職、(4)地方公務員の賃金低下――の四つを検証した。

 (1)については、パート労働者と正社員らパート以外の労働者(フルタイム労働者)の影響を分けて調べた。06年10〜12月に基本給全体が前年同期に比べ0.6%下落したことの原因を分析すると、給与の低いパート労働者の増加による影響が0.1%分にとどまったのに対し、フルタイム労働者の給与が下がったことによる影響は0.5%分だったという。

 フルタイム労働者のなかでも、派遣労働者非正社員が増加したことによる賃金低下の影響度は05年から半減していた。

 団塊世代の退職や地方公務員の賃金低下などの影響も軽微だった。白書は「いずれの要因も単独では賃金動向を説明しきれないが、押し下げる方向に作用している点は確認できた」とまとめた。

 また、これまでは格差と成長率の関係は「成長段階でいったんは格差が拡大するものの、次第に縮小する」との学説が有力だったが、日本や英、米、カナダでは、成長が続いても格差が縮まらない現況が示された。

http://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je07/07p00000.html(内閣府HP)