NHKスペシャル「介護の人材が逃げていく」

今日は予告どおり家で作業をしていて、実のところ一歩も外に出ていないというひどい状況。さきほどご飯をたべてゆっくりしているところ。

表題のNHKスペシャルをたまたま見た。最近読んでいなかった新聞の整理をして、これからどうしようか〜なんて漠然と考えていたところ、スペシャルの放送が目に留まった。

最初に登場するのは僕と同い年の27歳男性の介護士さん。ホーム型の介護施設で複数の老人を一緒に介護する。夜は9時間近く、複数の老人の介護を1人でやる。見るからに好青年で共感が持てる。しかし、彼の一月の給料はわずか10万円ちょっと。年収で200万円程度にも行かない。彼は結局5年間やった介護の仕事をやめてします。「介護の仕事をやってもくえないっす」。

介護施設の人材は低賃金によってどんどん離れているらしい。景気回復もあってスーパーのパートさんでも時給があがっている。そんななかで、介護の仕事をしている人はどんどんやめている。4人に1人が介護の仕事をやめてしまうそうだ。

介護の仕事は社会にとって必要不可欠である。人間は年をとり、家庭をもち、子供を育て、やがて年老いていく。年老いた人間と一緒に生活し、世話をするのは家庭の中で行われてきたが、最近はビジネスとして家庭の中から外部市場へと転化しつつある。外部の市場で行われるといっても、人間は必ず老いるし、老いるということはなんらかのサポートを必要とする。したがって、介護の労働は社会的に必要不可欠である。

にもかかわらず、しかも介護の仕事をきちんとやりたいという人がいるにもかかわらず、低処遇であるために、やめる人があとを立たない。これは構造的な問題なのではないだろうか。ちなみに、教員や研究者の世界も人材流出ややりたくてもやれない人が増えていると思う。大学の非常勤講師や学校の先生も、社会的に必要不可欠であるのに、安定した生活基盤がもてないため、人が離れる。

財政上の問題といってしまえばそれまでだが、どうにかできないのか。たぶん介護労働について実務でやっている人も含めて僕より詳しい人はごまんといるし、実態も含めて問題点は明らかになっているのだろうけど、自分にはどうしてこういうことになってしまうのか分からない。しかし、27歳という同世代の苦悩をみていると、人事とは思えない。自分の問題とも重ね合わせてしまう。